それはコロナ治りかけのある日のことだった。
治りかけの自宅待機というのは体は元気なこともって暇で暇で仕方がなかった。ゆったりと流れる時間を自室で過ごすべく、その日の私はTikTokのおすすめ欄をぼーっと見ていた。
そこで流れてきたのがその前の日に放送があった『HiHi Jetsのラジオだじぇっつ!(通称ハイラジ)』の切り抜きだった。
去年から始まったこのHiHi Jetsの冠番組は、コーナー含めて5人が素で喋っているだけなのだけど、それがオタクとしてはとても楽しく、私はこのラジオを聞くためだけにradikoに課金をしている。
自宅待機で若干体内時計が狂い出していたことや、いつも移動中に聞いてることもあり、その切り抜きで出てきた回はまだ聞いていなかった。
切り抜きから聞こえる声で、今週は髙橋優斗くんと作間龍斗くんの回だと言うことを知り、radikoで聞こうとアプリを起動しようとした。
だが、聞こえてきた言葉に思わず指が止まった。
「私、いびきがすごいの」
優斗くんに読まれたメールの文面。
それ、私が送ったやつやないか????????
私は何度かこのラジオにメールは送っていたのだけど、2ヶ月ほど前にもメールを送った時は状況がいつもと違ったのもあってよく覚えていた。
急いでradikoを起動して該当の回を聞く。
18分頃だった。
「ラジオネーム、なおちゃんマンさん」
「おお!」
はい、やっぱり私だ。
飼ってる猫からとったこの間抜けなハンドルネームは被りようがない。
「先日、友達と泊まりで遊びに行ったのですが」
「友達に「私いびきがすごいらしいの、迷惑かけるなら蹴ってでも止めて欲しい」と言われました」
「おお!」
そう。友達にいびきが凄いから蹴って止めて欲しいと言われた。
これだいぶ話が割愛されてるのだけど、2ヶ月前友達と泊まりで夢の国に行く予定があり、その予約の時に友達からLINEが来た。
正直ビビったが自分だけ別の部屋とろうかと言い出す彼女。でもせっかくみんなで泊まるのだからそれはないだろう。なので、私があることを思い出して伝えた。
「HiHi Jetsの作間くんのいびき、メンバーが蹴って止めるらしいよ」
友達の返事は「なら迷惑かけるくらいなら蹴ってでも止めて欲しい!」だった。
「深夜二時頃に聞こえてきたのは想像以上の爆音。
HiHi Jetsの皆さんはいびきの凄い作間くんをガンガン蹴ることができるそうですが、なんでそんなことができるのでしょうか?良心は痛まないのですか?来月も友人と泊まる予定が控えているので、上手く蹴るコツがあったら教えてください」
これは彼女の名誉のために言うと、私が隣で寝ていこと、そして1番はイヤホンを忘れたのが悪かった。
夜中に目を覚ますと思ったよりも大きな音にだつたのだ。
遮るものもなく、時計の音とかも気にするたちなのもあって、そのまま寝付けなくなった。どうしようかな〜と思ってたとき、そこで蹴ってでも止めて欲しいという彼女の言葉を思い出した。
立ち上がるところまでは行った。
……でもできなかった。
だって相手は寝てる人間だ。良心が傷んだ。
でも彼女が落ち着くまで寝れそうになかった。しかも、彼女とは翌月もその翌月も関ジャニ∞のライブの際も一緒に泊まる約束をしていた。その時も寝れなくなったらまずいと思い、正直めっちゃ暇だったのもあって、私はハイラジにどうしたら蹴れるのかとメールを送ったのだ。でも翌月も読まれる気配がなかったからもう読まれないものだと思っていた。
「ヒャッハッハッハッハッハwwwwwwwww」
「アッハッハッハッハッハwwwwwwwwwwww」
いや、めっちゃウケるじゃん君ら。
2ヶ月前の私、割と切実だったメールはめっちゃウケてるよ。
私はライブの時でもアイドルが笑ってくれてればファンサと思う方だけど、それはあくまで微笑みであって、まさか大爆笑をかっさらえるとは思ってなかった。
「やべぇ〜やべぇな〜、この質問やべぇ〜(笑)」
「(笑)あのさ、ごめんなさいちょっとさ、ハイラジのさ、メールの質上がってきてない!?」
「ね、上がってるね!」
笑いが取れた上になんか褒められた。(やばいとも言われてるが)質が上がってると言うか、ハイラジのリスナーさんはいつも面白いと個人的には思う。特に教えて男こごろのコーナーがあるあるが多くてツボ。
そしてまずこの私の疑問に対して、作間くんが蹴られる側としての意見を弁明してくれた。
「あのねえ、まずこの蹴られる側から説明いたしますと蹴るという動作よりかは"優しさ"なんですよ。これって」
「うん。ああなるほど」
「あの優しさをくれって話なんですね。蹴るという行為は優しさだと思ってください」
「おおなるほど」
「蹴る=悪いことというのはこの時は捨てた方がいいです」
「ああいびきに対しては」
「そうそうそう!止めて欲しいから、こっちは」
「ああそうだね」
「止めるには蹴るしかないんだよ」
「そうなんだよね」
「止めて欲しいから、こっちは」
そんな優しき心を持ってるけど暴走しそうなロボットみたいなセリフ聞けると思わなかった。
※彼はいびきの話をしています。
そしてその後実は良心は痛むけどキックボクシングのように蹴ってるわけではないと優斗くんはいびきを止める蹴り方のコツを教えてくれた。
「まず、太ももに足を寄せてください。そこでまず設置させます。面積を占めて」
「はい はいはいはい」
「そっからじわじわじわじわ骨を圧迫するように押します」
「はい。……あっはっはっはっは!なるほどね」
「そこで止まった…!と思った瞬間にそこで止める」
「ぎゅーって圧迫するんだ」
「んでもう1回寝る」
「なるほど」
「んで2回目来た時、もう1回同じ対応します。でももうちょい深くなんないと止まんないよみたいな、で、止まります」
「はいはいはい」
私以外の人が聞いたらなんの話ししてるんだと思うのだろうが、ここは私にはすごく参考なった。この蹴り方なら良心痛めずに済みそう。
「んで、3回目来ました。ここはもう限界ですね。ーー思いっきり蹴って下さい」
やっぱ思いっきり蹴るらしい。
「なるほど…あっはっはっはっは笑 3回目が」
「3回目が大事です」
「でも寝てる側としては気づかないんで、1回も」
「そうだよね。1回ちょっと寝ぼけて起きるからね作間は」
「そう〇✕△ってなるくらいだから」
そんで君は気づかないんか。
でも確かに優斗くんの説明を聞く作間くんは初見の反応をしてるのでまじで起きてはいないようだ。
そしてこの後、蹴れる人と蹴れない人がいるから、優斗くんしか蹴ってないことを教えてくれ、 『お泊まり会の中で蹴る仲間を見つけよう』というアドバイスをいただき、私のメールのターンは終わった。
いや何だこれ
大体4分くらいだろうか、私のメールにさかれた時間は。現実なのか初見は信じられなかったがどうやら現実だった。
かくいう私もジャニオタの端くれなのでらじらーやANN等、アイドルのラジオにメールしたことは何度もあったが、採用されたのはこれが初めてだった。
一応ハイラジにはもっとマシな「橋本涼さんに似てる中国俳優さんがいるので見てください」ってメールも送ってるのだけど、これは一生読まれることは無いだろう。
でもこんなおかしなメールに髙橋優斗くん、作間龍斗くん両名は懇切丁寧に回答してくださり、本当に頭が上がらない。
きっといびきを止めるために蹴る方法を聞かれて答えることなんて全世界でこの2人しか答えることはないんじゃないだろうか。
本当にこんなトンチンカンなメールに答えてくれてありがとうございました。
ものすごい余談だが、この放送回の時点で言っていたお泊まり会という名の現場は全て終わってたのだけど、ちょうど友人と6月に泊まる予定がまた出来たので教わった蹴り方もとい優しさを実践してみようと思う。その際またメールを送ろうかなと思っている。
ラジオっていいね。
ちなみに、ハイラジは徐々にエリアを増やしてるし、radikoでも聞ける30分番組なので非常に聞きやすいサイズ感でおすすめ。
よかったら聞いてみてください。
毎回メンバーが選んだ曲が聞けるのもいいところだよ。