和田彩花さんに捧ぐ花束

2019年6月18日。

私は日本武道館にいた。大好きな女の子たちの、いつも真ん中にいる一人の女の子の門出を見届けるために。

 

私が和田彩花ちゃん――あやちょを知ったのは鞘師がきっかけで見た『LILIUM-少女純潔歌劇-』だった。オタクは嫌いな人がいないって言われて期待して見始めたLILIUM。そこで目を奪われたのがあやちょだった。まず声。可愛い声だけどどこかせつなげで、歌うと少しだけ震えて不思議な響きがした。そんな声がある理由で一人でいることを選んでいるスノウという役にものすごくハマっていた。そしてもう一つが顔。「あっここで顔とか言っちゃうんだ…」と思われそうだが言っちゃう。ものすごく顔がかわいくてびっくりした。可愛いと綺麗が混ざっているような、とにかく正統派の美少女の顔面。そこに加えてさらっさらとロングヘアで美少女感増し増しの姿に見惚れてしまった。私が美少女ってテーマで絵を描くなら顔が小さくてかわいいにも綺麗にも見えて手足が長いロングヘアの女の子を描く。その子はそんな私の理想の体現者のようだった。

 

「この可愛い顔と声の女の子は誰だろう」

 

その疑問を解消したくて、初めて『スマイレージ』という言葉を検索した。そこから私はスマイレージ、そしてアンジュルムを知った。

和田彩花ちゃんかわいい!から今度はこの子はどんな歌を歌うんだろうと知りたくなった。初めて聞いたのは忘れもしない「ドンデン返し」。こんなかっこいいのか!?とびっくりした。そこからたくさんの楽曲を聞いて、動画を見て、彼女たちの歴史を調べて、知りたいが気になるに変わった。気になったら会ってみたくなって、今度は現場に行きはじめたら川村文乃ちゃんという推しができて、気づいたら人生の柱の内の一本と言いたいくらいにアンジュルムがめちゃくちゃ好きになっていた。

 

あやちょが卒業を発表したのは私が現場に行きはじめたくらいのこと。来年の春ツアーで卒業、その時点であと1年以上もあった。「1年も猶予をくれるなんて!なら心の準備もできるよね!」そのすぐ後に急に3か月後にグループの声がいなくなると言われることとなるジャニオタは余計にそう思っていた。

 

発表されたときはあと1年以上もあると思っていた。

5月の武道館が終わったあとはまだ1年あると思っていた。

アンジュルムが夏みんなで海に行ったと聞いたとき来年は行けないのかと思ったけどそれ以外に思い出たくさん作るから大丈夫、と思っていた。

秋ツアーの最後で新メンバーが加入の時もあと半年もあると思っていた。

ラストシングルが出たときもあと2か月あると思っていた。

 

まだまだ時間はあると思っていたのに、気づけば私は日本武道館にいた。

 

あっという間だった。だってアンジュルムのこと好きだから。好きだから楽しかったし、楽しいは体感だと一瞬だ。これはこの世の摂理。

でも始まるまで気持ちは不思議な感覚だった。和田彩花卒業公演に来ているのに、あやちょが卒業する気がしなかった。まったく想像が出来なかった。でもこれはみんなそうだったのではないだろうか。だって和田彩花のいないアンジュルムを、スマイレージを、見たことがある人はいないのだから。

 

その日は6時間かけて物販を買い、そこからフォロワーさんと交流しつつ時を過ごして、すごい気持ちは穏やかだった。楽しみとも違うしさみしいとも違うし、やっぱり不思議というのがしっくりきた。でも時間はその気持ちを整理するのを待ってはくれない。

 

ライブは定刻通り18時にスタートした。もうねかっこよかった。

最初これがあやちょのいるアンジュルムは最後なんだって思うと涙が出てきたのに、1曲目「赤いイヤホン」を歌うアンジュルムがかっこよすぎて引っ込んだ。「絶対に完璧な状態で和田彩花を送り届ける」そんな気迫が伝わってきた。大好きな女の子たちが本当にかっこよくて、そんな彼女たちを見てキンブレを振れるのが楽しくて、スマ曲のメドレーがくるまで卒コンというのを忘れそうだった。でもメドレーでこれが最後なのかと実感した。そこから涙が溢れて、「交差点」で泣き崩れるみんなを見て私もぐしゃぐしゃになって泣いた。

でもメンバーのトークに緩急があって面白くて、そこからはもう泣いたり笑ったりの連続。目からは涙が溢れているのにそのままたくさん笑った。

でもそれがすごく「らしい」なと思った。

「みんなの笑顔を貯めれていけるように」と願って『スマイレージ』と名付けられ、「一緒にいろんな涙を流していこう」と意味を込めてかななんがつけた『アンジュルム』。その二つのリーダーとして率いてきたあやちょにこれほどふさわしい卒コンはないのではないだろうか。

そう全部においてらしかった。白いシンプルなパンツドレスも、そこから皆と同じツアーで着てたアンコール衣装にすぐ戻ったのも、ちゃんとしたセレモニーの形をとらず終わったのも、全部全部「あやちょらしい」ものだった。

よくあやちょのことをスマイレージを忘れたという人がいる。

実際以前バラエティに出たときにかみこが「スマイレージの曲の可愛い曲も好き」と言った際にあやちょは「好きだけではやっていけない」「かっこいい曲を見てほしい」と言った。そこから「あやちょはもうスマ曲みたいな可愛い曲はやりたくないんだ」と言うオタクがちらほら見たくなくても視界に入ってくることがあった。真意は彼女にしか分からないのに。

でも彼女が最後に一人で歌うことを選んだ曲は大好きなプラチナ期でもなく、かっこいいアンジュルムの楽曲でもなく、スマイレージの「ぁまのじゃく」だった。スマイレージからアンジュルムまで一人引っ張り続けた彼女にとってすべての曲は大切だったのだと思う。可愛い曲もかっこいい曲も本当は全部好きだけど、それだけでは上手くいかないことを彼女は知ってしまった。だけど最後はスマイレージの曲を選んだ。絶対好きじゃない歌をここでは歌ったりしないだろう。あやちょの愛をまざまざと感じてまた泣いた。

ライブ中本当に沢山泣いた。そしてたくさん笑った。オタクだけじゃなくてメンバーみんなもそうだった。涙と笑顔に包まれて、それはそれはすごく楽しくて幸せで愛おしい空間だった。人の幸せの大きさは比べられないけど6月18日の18時から21時くらいの間で世界中で一番幸せだったのは日本武道館だったと私は思う。

 

さてライブから一週間たつわけだがまだあやちょが卒業した実感がわかない。

だが、これから変わった歌割、11人で並んでる姿、ライブで見当たらない赤のペンライトなを見てじわじわ実感していくのだろう。

 

あやちょ。和田彩花さん。

あなたのおかげでアンジュルムに出会い、あなたが作り上げたアンジュルムを好きになり、世界で一番大切な女の子に出会うこともできました。

綺麗とも可愛いととれる絶妙なお顔、「えっ腰の位置そこ!?」と毎回驚かされるスタイルのよさ、可愛い声とその声で紡がれる凛とした意思。全部全部大好きです。

メンバーを、アイドルを、女の子を、人間を、絶対的に愛し守り通そうとするあやちょは本当にかっこいい。あなたが作ったアンジュルムのオタクになれてよかった。

ラストシングルのリリイベの最後の回、メンバーみんなが泣いちゃったあの時、最後の握手で一人ひとりオタクの顔を覗き込みながら話を聞いてくれたこと絶対忘れません。

あのときに「アンジュルムを好きになれてよかった」と言ったら満面の笑みをくれたことも。

15年間お疲れ様でした。

アイドルになってくれてありがとう。

 

オタクより

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スマイレージ 「夢見る 15歳」 (和田彩花Dance Shot Ver.)


アンジュルム『夢見た 15年(フィフティーン)』(ANGERME [Dreamed for 15 years])(Promotion Edit)

 

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